「小さな小さなクローディン発見物語」 月田承一郎

本日の読書:「小さな小さなクローディン発見物語」月田承一郎


学生の頃、月田夫婦の名前はよく見かけていたのだけれど、実のところどんな方達で、どんな研究しているのかよく知らなかったのだな。そして、月田先生が、数年前に亡くなっていたこともこの本で知ったわけですが。


一時期は、研究の世界にいたけれども、月田先生が語る「視力」というのが磨かれる以前の問題で、勉強嫌い、この世界で生きていく才能ないやってことで違う世界に移っちゃったのだな。でも、クローディン発見の経緯を書き記した個所は、興奮しましたよ。こういう瞬間があるから研究から足洗う決断がなかなできず、ずるずるずる〜となっちゃったりするのだな。もちろん、日々の実験では、クローディンの発見のような大物はめったに出会わないわけで、ほんと誰かの論文の再確認実験だったりするんだけれども、やっぱりそれはそれで楽しかったよな〜と昔を懐かしんでしまった。


まだまだ研究世界で活躍できただろう月田先生は、きっと無念だったろうなぁ。奥さまとお子様を残されて先立つことも。最後の奥様が書かれたページは、電車の中で読んでいたんだけれども、泣きそうになってしまった。


ここ数年、自分の中で消えてしまった火に小さな小さな灯りをともしてもらえる一冊となった。まだ数回は読みなおしたいね。